ヘッダー画像

医療コラム

歯列矯正と親知らずの関係について|【公式】しま歯ならび矯正歯科|堺市西区鳳駅の矯正歯科

歯列矯正と親知らずの関係について

歯列矯正を検討している患者さんの多くが、「親知らずは抜いた方がいいのか」「矯正治療と親知らずはどのように関係しているのか」という疑問を抱えています。実際の矯正歯科の初診相談では、歯並びや装置の種類と同じくらい、あるいはそれ以上に親知らずについての質問が多く寄せられることがあります。

親知らずは「歯並びを悪くする」「矯正の邪魔になる」「とりあえず抜いた方がいい」といったイメージを持たれがちですが、必ずしもすべてのケースで抜歯が必要というわけではありません。一方で、親知らずの状態によっては矯正治療の結果や安定性に大きな影響を及ぼすこともあり、安易な判断は避けるべき歯でもあります。

本コラムでは、歯列矯正と親知らずの関係について、親知らずがどのような歯であるのか、歯列や噛み合わせにどのような影響を及ぼすのかを順を追って説明し、治療を検討する際に知っておきたい考え方を丁寧に整理しています。治療前の不安を少しでも解消し、納得したうえで矯正治療に臨んでいただくための助けとなれば幸いです。


第1章:親知らずとはどのような歯か

親知らずとは、永久歯の中で最も奥に位置する歯で、正式には第三大臼歯と呼ばれます。上下左右に最大で4本存在しますが、すべての人に必ずしも生えるわけではなく、生まれつき1本もない方や、1〜2本だけ存在する方もいらっしゃいます。

一般的に、親知らずは10代後半から20代前半にかけて生えてくる場合が多いです。。この時期は、顎の成長がほぼ完了しているため、歯が生えるためのスペースが不足しやすくなります。その結果、まっすぐ生えずに斜めに傾いたり、横向きに埋まってしまったり、歯ぐきや骨の中に完全に埋まったままになることがあります。

現代人は食生活の軟食化により、顎を大きく使う機会が減少しています。その影響で顎の骨は小さくなる傾向があり、一方で歯の大きさや本数は大きく変化していません。そのため、最後に生える親知らずが顎に収まりきらず、炎症や痛み、歯列不正の一因となりやすいのです。


第2章:歯列矯正の目的と基本的な考え方

歯列矯正の目的は、見た目の改善だけではありません。歯並びや噛み合わせを整えることで、食べ物を効率よく噛めるようになり、発音が明瞭になり、歯磨きがしやすくなることで虫歯や歯周病の予防にもつながります。つまり歯列矯正は、審美性と機能性、そして将来の口腔の健康を守るための医療行為です。

矯正治療では、歯に弱い力を継続的に加えることで、歯の周囲の骨が吸収と再生を繰り返し、歯が少しずつ移動します。この過程では、歯を理想的な位置に並べるための「スペース」をどのように確保するかが非常に重要になります。

スペース確保の方法には、歯列の拡大、歯の傾きの改善、歯の幅をわずかに調整する方法、そして抜歯による方法があります。歯列の一番奥に存在する親知らずは、このスペース設計や歯の移動方向に大きく関わるため、矯正治療計画において重要な判断材料となります。


第3章:親知らずは歯並びを悪くするのか

「親知らずが生えてくると前歯が押されて歯並びが悪くなる」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。確かに以前はそのように考えられていた時代もありましたが、現在の研究では、親知らず単独が直接的に前歯の叢生を引き起こすという明確な証拠は限定的だとされています。

歯並びが乱れる原因は多岐にわたり、顎の大きさと歯のサイズの不調和、舌や唇、頬の筋肉の圧力、成長や加齢による変化、生活習慣などが複雑に関与しています。その中で親知らずは、歯列に影響を与える「一要因」にはなり得ますが、それだけが原因ではありません。

ただし、親知らずが横向きに埋まって第二大臼歯を強く圧迫している場合や、炎症を繰り返している場合には、歯並び全体のバランスに悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、歯列矯正を行う際には、親知らずの状態を無視することはできません。


第4章:歯列矯正前に親知らずを抜歯する理由

矯正治療前に親知らずの抜歯を勧められることがありますが、これは画一的な判断ではありません。治療計画を立てるうえで、抜歯を行った方が安全かつ効率的で、将来的に安定した結果が得られると判断される場合に選択されます。

たとえば、歯を後方へ移動させる治療計画では、親知らずが後ろからの壁となり、歯の移動量が制限されてしまうことがあります。また、矯正治療で使用されるアンカースクリューの埋入位置に親知らずが干渉する場合もあります。

さらには、矯正装置装着中は歯磨きが難しくなり、親知らず周囲の清掃不良によって智歯周囲炎(親知らずが生えてくる際や生えた後に、その周りの歯ぐきが細菌感染により炎症を起こし、腫れや痛みなどが出る症状のこと)を起こすリスクが高まります。これらのリスクを回避する目的で、矯正治療前に抜歯が選択されることもあります。


第5章:矯正治療中・治療後に親知らずを抜歯する場合

親知らずの抜歯は、必ずしも矯正治療前に行わなければならないわけではありません。矯正治療中に抜歯を行う場合もあれば、治療が終了した後に判断されることもあります。

矯正治療中の抜歯では、腫れや痛みによって一時的に装置調整が難しくなることがありますが、治療計画を調整することで大きな支障なく進めることが可能です。一方で、歯の移動計画を再評価する必要が生じることもあります。

治療後に親知らずを抜歯する場合は、矯正結果を確認したうえで判断できるメリットがありますが、後戻り防止のための保定管理がより重要になります。


第6章:親知らずを抜かずに歯列矯正を行うケース

親知らずがまっすぐ生えており、噛み合わせに参加していて、清掃状態も良好な場合には、抜歯をせずに矯正治療を行うことが可能なケースもあります。

また、歯ぐきや骨の中に完全に埋まっており、周囲の歯や歯列に悪影響を与えていない場合には、経過観察とすることが一般的です。この場合でも、将来的な変化を見逃さないために定期的なレントゲン検査が重要になります。


第7章:親知らず抜歯に伴うリスクと注意点

親知らずの抜歯は一般的な処置ですが、外科的処置である以上、一定のリスクが伴います。特に下顎の親知らずでは、下歯槽神経が近接しているため、しびれが生じる可能性があります。そのため、CT撮影による術前評価が重要です。

また、抜歯後には腫れや痛みが生じることがありますが、多くは一時的なものです。まれにドライソケット(抜歯後にできるはずの血の塊が形成されなかったり、剥がれてしまうことで、抜歯した穴の骨がむき出しになり強い痛みや炎症が起きる状態)と呼ばれる状態になり、強い痛みが続くことがあるため、術後の指示を守ることが大切です。


第8章:年齢と歯列矯正・親知らずの関係

若年者では骨代謝が活発で、歯の移動や抜歯後の治癒が比較的スムーズに進みます。一方、成人以降では骨が硬くなり、治療期間が長くなる傾向があります。

しかし、年齢が高いからといって矯正治療ができないわけではありません。全身状態や口腔内の健康状態を考慮し、無理のない治療計画を立てることが重要です。


第9章:矯正治療後の後戻りと親知らず

矯正治療後に歯並びが元に戻ろうとする現象を後戻りといいます。後戻りの原因には、保定不足、筋機能の影響、成長や加齢変化など様々あります。

親知らずが後戻りの直接的原因になる明確な証拠は多くありませんが、歯列後方のスペース不足が影響する可能性はあります。そのため、治療後も長期的な保定と経過観察が重要です。


第10章:症例から考える親知らずと歯列矯正

矯正治療における親知らずの判断は、実際の症例を通して考えると理解しやすくなります。たとえば、歯列の叢生が強く、歯を後方へ移動させる必要がある患者さんでは、親知らずを事前に抜歯することで治療計画がスムーズに進むケースがあります。

一方で、親知らずが完全に埋伏しており、歯列や噛み合わせに影響を与えていない患者さんでは、抜歯を行わずに矯正治療を完了し、その後も問題が生じていないケースもあります。また、矯正治療中の経過観察によって、当初は抜歯予定だった親知らずを保存する判断に変更することもあります。

このように、親知らずの扱いは一人ひとり異なり、柔軟な判断が求められます。


第11章:初診から治療計画で実際に確認しているポイント

矯正治療を始める前には、口腔内診査、レントゲン撮影、必要に応じてCT撮影を行い、親知らずの位置や角度、周囲組織との関係を詳しく確認します。また、年齢や成長段階、噛み合わせ、歯列の幅、後戻りリスクなども総合的に評価します。

これらの情報をもとに、親知らずを抜歯すべきか、経過観察とするか、いつ判断するかを決定します。この過程は非常に重要であり、患者さんごとのオーダーメイドの治療計画が立てられます。


第12章:よくある患者さんからの質問と回答

歯列矯正と親知らずについては、多くの患者さんが同じような疑問を持っています。親知らずを抜かないと矯正ができないのか、矯正後に生えてきたらどうなるのか、抜歯は大学病院で行う必要があるのかなど、不安は尽きません。

これらの質問に対する答えは一つではなく、口腔内の状態によって異なります。そのため、インターネットの情報だけで判断せず、専門家の説明を受けることが重要です。


第13章:現在の歯科医療における親知らずと矯正の考え方

現在の歯科医療では、すべての親知らずを予防的に抜歯するのではなく、必要性がある場合にのみ抜歯を行うという考え方が主流です。CTやデジタル診断技術の進歩により、より安全で精密な判断が可能になっています。


第14章:まとめ

歯列矯正と親知らずの関係には、画一的な正解は存在しません。親知らずの状態、歯並び、年齢、治療の目的を総合的に判断し、患者さん一人ひとりに合った対応を選択することが重要です。

十分な説明を受け、納得したうえで治療を進めることで、見た目だけでなく機能的にも安定した歯並びを長期的に維持することができます。


矯正治療と親知らずをめぐる最新の考え方と今後の展望

近年の矯正歯科医療では、親知らずに対する考え方も少しずつ変化してきています。以前は「歯列矯正をするなら親知らずは抜くもの」と考えられていた時代もありましたが、現在ではCTなどの画像診断技術の進歩により、より個別性の高い判断が可能になっています。つまり、すべての患者さんに一律の対応を行うのではなく、その人の顎の大きさ、歯のサイズ、成長段階、噛み合わせの特徴を総合的に評価したうえで、親知らずをどう扱うかを決める時代になってきているのです。

また、矯正治療を受ける患者さんの年齢層が広がっている点も、親知らずとの関係を考えるうえで重要です。10代で治療を開始する場合と、20代・30代以降で治療を開始する場合とでは、親知らずの状態や将来的なリスクが大きく異なります。若年者では、まだ親知らずが骨の中に埋まっている段階で将来の予測を立てる必要がありますし、成人ではすでに萌出している親知らずが矯正治療や清掃性にどう影響するかを慎重に評価しなければなりません。

さらに、矯正治療後の「後戻り」をどう防ぐかという観点からも、親知らずの存在は無視できません。後戻りは、親知らずだけが原因で起こるわけではありませんが、噛み合わせや歯列の安定に影響を与える要因の一つであることは事実です。そのため、矯正治療が終わった後も、定期的な経過観察を行い、親知らずの位置や周囲の状態を確認し続けることが大切になります。

患者さんにとって重要なのは、「必ず抜かなければならない」「絶対に残してはいけない」といった極端な情報に振り回されないことです。親知らずをどうするかは、歯列矯正の成功と長期的な口腔の健康を考えるうえでの一つの選択肢に過ぎません。矯正歯科医と十分に相談し、自分自身の歯並びやライフステージに合った判断をしていくことが、結果的に満足度の高い治療につながります。

最後に、歯列矯正と親知らずを考えるうえで、患者さんに特に意識していただきたいポイントを簡潔に整理します。

pagetop