抜髄ってなに?
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🦷歯の神経を抜く(抜髄)とは?原因・治療の流れ・注意点を徹底解説

第1章:歯の構造と神経の役割
歯は、ただの「白くて硬い器官」ではありません。内部には血管や神経が通い、まさに“生きている組織”です。神経を抜く(抜髄)治療を理解するためには、まず歯の構造と神経の重要性を知ることが欠かせません。
歯の三層構造
歯は外側から順に「エナメル質」「象牙質」「歯髄(神経)」の三層でできています。
| 層 | 位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| エナメル質 | 歯の表面 | 人体で最も硬い組織。外部刺激や酸から内部を保護。痛みは感じない。 |
| 象牙質 | エナメル質の下 | 無数の象牙細管が神経に向かって伸びており、刺激が伝わりやすい。 |
| 歯髄(神経) | 一番内側 | 神経と血管が通い、歯に栄養と感覚を与える。免疫細胞も存在。 |
歯髄(神経)の働き
歯髄は単なる「痛みの神経」ではなく、歯の生命を維持する中枢的な役割を持っています。
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感覚を伝えるセンサー
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虫歯や外傷による刺激を感知して脳に伝える。
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この“痛み”は、歯を守るための警報装置でもある。
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栄養と水分の供給
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歯髄内の血管が歯全体に栄養を届け、歯質を強くしなやかに保つ。
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神経を失うと歯が乾燥して脆くなりやすい。
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免疫防御機能
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歯髄には免疫細胞が存在し、歯の中に侵入した細菌を排除する役割を担う。
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このように、歯の神経は単なる“痛みの元”ではなく、歯の生命線そのものです。
したがって、歯科医はできるだけ神経を残す治療を優先しますが、炎症や感染が進行した場合には「抜髄」が避けられなくなるのです。
第2章:なぜ歯の神経を抜く必要が生じるのか
歯の神経を抜く主な原因は「虫歯の進行」です。
しかし、実際にはそれ以外の要因も存在します。ここでは抜髄が必要になる代表的なケースを詳しく解説します。
1. 虫歯による歯髄炎
虫歯は初期段階ではエナメル質内に留まり、痛みを感じません。しかし進行すると象牙質を越えて歯髄に達し、「歯髄炎(しずいえん)」が発症します。
歯髄炎の進行段階
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初期歯髄炎:冷たいものや甘いものでしみる程度。刺激を取り除けば一時的に落ち着くことも。
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急性歯髄炎:ズキズキと強い痛み。夜眠れないほどの痛みを伴う。冷温刺激で痛みが持続。
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慢性歯髄炎:痛みが一時的に治まるが、神経は徐々に壊死し、やがて根の先に膿が溜まる。
炎症が強い段階では、神経を残す「覆髄(ふくずい)」では対応できず、感染源となる歯髄を完全に取り除く必要があります。
2. 外傷による歯髄壊死
転倒や打撲で歯を強く打つと、神経が断裂・壊死することがあります。特に前歯の外傷で起こりやすく、時間が経つと歯の色が暗く変化し、内部で感染が進行することもあります。
3. 再治療による神経損傷
過去に行った大きな虫歯治療や被せ物の再治療で、削る量が多くなると神経にダメージを与え、炎症が起こる場合があります。
4. その他の要因
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深い虫歯治療後の持続的な痛み
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知覚過敏や歯ぎしりなどによる神経への慢性的刺激
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歯周病によって根の先から感染が逆流した場合
いずれも共通しているのは、「歯を抜かずに残すために抜髄を行う」という点です。
抜髄は歯を延命するための最終手段なのです。
第3章:抜髄の治療の流れ(根管治療)と最新技術
抜髄(ばつずい)は、歯の内部にある神経を取り除く治療です。しかし、単に神経を抜くだけではなく、歯の中を徹底的に無菌化し、再感染を防ぐ「根管治療」という精密な工程の一部です。
この章では、一般的な抜髄の流れに加え、現在進められている再根管治療(再診)や新しい治療技術についても詳しく解説します。
1. 麻酔 ― 痛みを最小限に抑える第一歩
抜髄治療は、麻酔なしで行うことはありません。
局所麻酔によって歯髄周辺の感覚をブロックし、痛みを完全に取り除いた状態で治療を行います。
近年では、コンピューター制御麻酔器や表面麻酔ジェルの併用により、麻酔針を刺す際の痛みすら感じにくくなっています。
また、麻酔が効きにくい下顎の奥歯や強い炎症がある場合でも、電動麻酔や神経ブロック麻酔の技術により、痛みの少ない処置が可能になっています。
2. 虫歯除去と神経へのアクセス ― 無菌環境の確保
虫歯や古い詰め物を取り除き、歯の中央にある「歯髄室」へアクセスします。
この段階で最も重要なのは、治療中に新たな細菌を入れないことです。
そのために用いられるのが、ラバーダム防湿法です。
これは歯の周囲をゴムのシートで覆い、唾液や口内の細菌が治療部位に入らないようにする方法で、根管治療の成功率を大きく高める基本技術です。
また、近年では口腔内スキャナーやデジタルマイクロスコープを用いて、歯の内部構造を三次元的に把握する治療も増えています。
3. 神経の除去(抜髄) ― 精密器具で丁寧に除去
歯の中の神経は非常に細く、曲がりくねった形をしています。
従来はステンレス製の手動ファイルを使って除去していましたが、現在ではより柔軟性の高い**ニッケルチタンファイル(Ni-Tiファイル)**が主流となっています。
このファイルは、根管の曲がりに沿ってしなやかに動くため、
歯の根を削りすぎずに神経を除去することが可能です。
さらに、**電動根管拡大装置(モーター)**によって一定のトルクで安全に作業できるようになり、
治療の精度とスピードが向上しました。
4. 根管内の清掃・消毒 ― 感染除去の核心
神経を除去した後、最も重要な工程が「根管内の清掃・消毒」です。
根管は人の髪の毛ほど細く、枝分かれやカーブが複雑なため、目で確認できない部分に細菌が残ることがあります。
消毒に使われる主な薬剤と方法
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次亜塩素酸ナトリウム溶液
細菌や有機物を溶かし、内部を無菌化。 -
EDTA(キレート剤)
根管壁の不純物や象牙質片を溶かして洗浄。 -
超音波洗浄
洗浄液を超音波で振動させ、根の先端まで薬剤を行き渡らせる技術。
さらに近年では、**レーザー(Er:YAGレーザー、Nd:YAGレーザーなど)**を用いた殺菌技術も導入されており、
従来の薬液洗浄では届きにくかった微細な部分まで効果的に消毒できるようになりました。
5. 根管充填 ― 再感染を防ぐ封鎖の工程
清掃・消毒が完了したら、根管を乾燥させ、内部を再感染から守るために封鎖します。
これを**根管充填(こんかんじゅうてん)**と呼びます。
主な充填材料と方法
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ガッタパーチャポイント
天然ゴム由来の材料で、加熱または圧縮して根管内に密閉。 -
シーラー(接着剤)
微細な隙間を埋め、細菌の侵入を防ぐ。
従来は手詰めによる単純充填が一般的でしたが、近年では垂直加圧充填法や温熱軟化法など、
根管内を完全に三次元的に封鎖する方法が普及しています。
これにより、再感染率が大幅に低下しました。
6. 土台形成と被せ物の装着 ― 構造的補強
神経を抜いた歯は内部が空洞になり、脆くなっています。
そのため、内部に「コア(土台)」を作って強度を補い、その上にクラウン(被せ物)を装着します。
コアには金属やグラスファイバーなどの素材が用いられます。
特にグラスファイバーコアは歯に近い弾性を持ち、金属のような歯根破折を起こしにくいことから、
審美歯科でも多く採用されています。
7. 現在進められている再根管治療(再診)の最新技術
抜髄後、数年経ってから再び痛みや腫れが出ることがあります。
これは「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」と呼ばれ、根の先端に細菌が再び繁殖した状態です。
この場合に行うのが**再根管治療(さいこんかんちりょう)**です。
再根管治療は、初回治療よりも難易度が高く、次のような新しい技術や機器が導入されています。
🔹マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
最大25倍に拡大して根管内を観察できるため、従来では見逃されていた微細な分岐や感染部位を正確に確認できます。
マイクロスコープを使うことで、再治療成功率が**約70〜90%**に向上したと報告されています。
🔹CBCT(歯科用3Dレントゲン)
従来の二次元X線では見えない根管の湾曲・分岐・感染範囲を立体的に把握できる。
再治療の計画を立てるうえで欠かせない診断装置です。
🔹Ni-Tiファイルと電動モーターの改良版
再治療では古い充填剤を取り除く必要がありますが、最新のNi-Tiファイルは根管の形を壊さずに安全に除去できる設計になっています。
🔹レーザー殺菌・超音波活性化洗浄(PUI)
再感染根管の中の細菌膜(バイオフィルム)を破壊し、薬液の効果を高める最新技術。
細菌除去率が従来法よりも高いことが実証されています。
🔹MTAセメント(バイオセラミック系封鎖材)
再治療の際、根の先端部や穿孔(穴が開いた部分)を修復するために使われる材料です。
生体親和性が高く、再石灰化を促す作用もあります。
8. 治療回数と期間の目安
| 状況 | 治療回数 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 通常の抜髄 | 1〜3回 | 2〜4週間 |
| 感染が重度 | 3〜6回 | 1〜2ヶ月 |
| 再根管治療 | 3〜5回 | 1〜3ヶ月 |
再治療では歯の状態に応じて薬剤を入れ替え、炎症の鎮静を確認しながら進めます。
特に再感染を防ぐためには、ラバーダム防湿+マイクロスコープ+CBCT診断の3点セットが成功の鍵になります。
9. 治療の成功を左右するポイント
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無菌環境の徹底(唾液・細菌の侵入防止)
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根管の見落としを防ぐ精密診断
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完全な三次元的根管封鎖
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治療後の精密なクラウン装着
根管治療は「見えない部分を治す治療」であるため、治療技術・設備・時間のすべてが結果を左右します。
信頼できる歯科医院を選び、丁寧な説明を受けながら進めることが大切です。
第4章:抜髄後の歯はどうなるのか?
神経を抜いた歯は、「痛みが消えて安心」と感じるかもしれませんが、実は抜髄後の歯は多くの変化を経験します。
1. 歯が割れやすくなる
歯髄を失うと歯に水分が行き渡らなくなり、乾燥して脆くなります。
特に奥歯など強い力がかかる部位では、ヒビや破折のリスクが高くなります。
→ そのため、クラウンで全体を覆って補強するのが標準的な処置です。
2. 感覚の喪失
神経がないため、冷たい・熱いといった刺激を感じにくくなります。
痛みを感じないことで虫歯の再発に気づかず、治療が遅れるリスクもあります。
3. 変色
歯髄を取ると血液供給が止まり、歯の内部がやや灰色〜黒ずんだ色になることがあります。
審美的に気になる場合は、ウォーキングブリーチ(内部漂白)やセラミック修復で改善できます。
4. 感染リスク
歯は内部構造が複雑なため、完全に無菌化するのは難しく、数年後に根の先で炎症を起こすこともあります。
そのため、治療後も定期的なレントゲン検査が推奨されます。
第5章:治療後のトラブルと再発防止
抜髄した歯でも、再感染や炎症が起こることがあります。ここでは治療後に起こりうるトラブルと、その防止策を詳しく説明します。
よくある治療後の症状
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治療後しばらく歯を噛むと痛む
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根の先に膿が溜まり、歯茎が腫れる
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被せ物の下で虫歯が再発
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違和感や鈍痛が続く
これらは、根管内に細菌が再度侵入したり、充填剤が不完全だった場合に起こります。
再治療(再根管治療)では、被せ物を外し、再び根管内を清掃・消毒します。
再発防止のための重要ポイント
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ラバーダム防湿
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唾液や細菌が入らないよう、無菌的環境で治療を行う。
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マイクロスコープやニッケルチタンファイルの使用
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根管の分岐や湾曲を見逃さないための精密治療。
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精密な根管充填
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隙間なく薬剤を詰め、再感染の原因となる空間を残さない。
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適切なクラウン装着
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被せ物と歯の境界を精密に仕上げることで、細菌の侵入を防ぐ。
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定期メンテナンス
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半年〜1年ごとのレントゲンチェックで再発を早期発見。
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第6章:抜髄せずに済むためにできること
最も大切なのは、「神経を抜かなくて済むように予防すること」です。
歯髄炎は予防と早期治療によってほとんど避けられます。
神経を守るための予防法
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正しいブラッシング
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歯と歯の間、歯茎との境目まで丁寧に磨きましょう。
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フッ素の活用
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再石灰化を促進し、虫歯の進行を防ぎます。
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定期検診(3〜6ヶ月に1回)
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早期発見・早期治療の最大のチャンス。
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食生活の見直し
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間食を減らし、砂糖の摂取をコントロール。
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歯ぎしり・食いしばりの対策
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神経を刺激する原因にもなるため、マウスピースの使用も有効。
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痛みが出たときには、すでに神経に達するほど虫歯が進行していることが多いのです。
だからこそ、「痛みがなくても歯医者に行く」ことが、最も賢い予防法といえるでしょう。
第7章:まとめ ― 抜髄は「歯を救う最後の手段」
歯の神経を抜く治療(抜髄)は、「歯を失わないための最後の選択」です。
確かに神経を失うことで歯の感覚や強度は低下しますが、適切な治療とメンテナンスによって長期的に機能を保つことが可能です。
重要なのは次の3点です。
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痛みを我慢せず早めに受診すること
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精密な根管治療を受けること
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治療後も定期的に検診を受けること
歯の神経を抜くことになっても、それで終わりではありません。
その後のケアこそが、歯の寿命を左右します。
一度神経を失った歯も、正しい知識と管理で長く健康に保つことができるのです。
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