保定について
保定について
矯正治療によって目的の位置に移動した歯や顎の位置や状態を、長期的に保持し安定させるための処置のことを「保定」といいます。
矯正治療後に獲得した歯ならびや噛み合わせは不安定なものであり、後戻りをするリスクがあります。歯を動かすことよりも動かした位置に維持しておくことの方が難しいといわれるほど、保定は非常に重要であり、保定も矯正治療の一部になります。頑張って治療して整えた歯ならびや噛み合わせを維持するために、保定装置もしっかり使用するようにしましょう。
✓お口の周りの筋肉がバランスのよい力となることで、矯正治療後の歯ならびや噛み合わせを安定させるための保定力として作用できること
✓お口まわりの癖がないこと
✓矯正治療により得られた新しい環境に対して、歯肉などの歯の周りの組織や顎関節を含めた顎の骨が適応し、調和がとれていること
✓理想的な歯ならびや歯と歯どうしの接触関係など噛み合わせの関係自体が保定力として作用できること
✓上顎と下顎における成長発育の不調和や成長による変化がないこと
当院で主に使用している保定装置の種類をいくつかご紹介します。大きく分けると以下の2種類に分類されますが、患者さんの歯ならびや噛み合わせ、生活習慣を考慮して保定装置を選んでいます。
可撤式保定装置の特徴:
固定式保定装置の特徴:
犬歯間保定装置
歯の裏側にワイヤーを接着して連結する装置になります。ワイヤーと歯肉の間の歯磨きが難しく、歯石も付着しやすくなるため、より丁寧な歯磨きが必要になります。特に、下の前歯のガタガタが強かった方や矯正治療後に親知らずが生えてくることで前歯に力が加わることが予想される方などに使用されることが多いです。
矯正装置をそのまま保定装置として使用する場合
小児矯正治療後は、矯正装置を保定装置として使用する場合があります。拡大床、リンガルアーチ、ヘッドギアなどが使われます。
不正咬合(歯ならびや噛み合わせの乱れ)の種類や原因、不正の程度、矯正治療の期間、治療方法、歯の周りの組織の状態、年齢など個人差が大きいため保定期間を一律に決定することはできません。患者さん1人ひとりの歯ならびや噛み合わせの状態を確認しながら決定していきます。可撤式保定装置の場合、保定期間へ移行した直後は食事と歯磨き以外の時間は保定装置を使っていただくようお伝えしておりますが、歯ならびや噛み合わせの安定を確認しながら徐々に保定装置の使用期間は短縮されます。