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医療コラム

顎間ゴムとは|【公式】しま歯ならび矯正歯科|堺市西区鳳駅の矯正歯科

顎間ゴムとは

第1章: 顎間ゴムについて

1.1 顎間ゴムとは?

顎間ゴム(がっかんごむ)は、歯科矯正治療において非常に重要な補助装置です。このゴムは、歯科矯正装置(ブラケットやワイヤー、マウスピース)と一緒に使用され、上顎と下顎を結びつけることで、矯正治療を効率的に進行させる役割を果たします。顎間ゴムは、歯や顎に対して一定の力を加え、歯の移動や顎の位置調整を補助します。これにより、矯正治療の効果を高め、最終的に理想的な噛み合わせを実現することが可能になります。

顎間ゴムは、ゴムの弾力性を活かして力を均等に歯に伝えることができ、治療中における力のコントロールを容易にします。特に、上顎と下顎の位置関係が悪い場合、顎間ゴムはその調整を行うために非常に効果的です。顎間ゴムは通常、矯正治療の中期から後期にかけて使用されることが多く、患者の治療の進行具合に応じて、その強度や使用時間が調整されます。

1.2 顎間ゴムの重要性

顎間ゴムの使用は、歯科矯正治療において非常に重要な役割を担っています。矯正治療における主な目的は、歯並びの改善だけでなく、咬合(かみ合わせ)の改善です。顎間ゴムを使用することで、上顎と下顎の位置を正しく整えることができ、最終的に健康的な咬合を実現できます。

矯正治療では、歯を移動させるために力を加えることが基本的な方法ですが、上顎と下顎の関係を調整するためには、顎間ゴムを使うことが非常に効果的です。顎間ゴムを使わずに矯正装置だけで治療を進めると、咬合の不正が残ることがありますが、顎間ゴムを併用することにより、上下顎のズレを改善し、歯の移動が効果的に進行します。


第2章: 顎間ゴムの使用目的と治療効果

2.1 咬合不正の改善

咬合不正は、上下顎の歯の位置が適切に噛み合わない状態を指します。反対咬合(逆咬合)、開咬、過蓋咬合、交差咬合など、さまざまな種類の咬合不正があります。これらの咬合不正を改善するために、顎間ゴムは重要な役割を果たします。

顎間ゴムは、上顎と下顎を結びつけて適切な力を加えることにより、上下顎の噛み合わせを改善します。例えば、反対咬合(逆咬合)の場合、顎間ゴムは下顎を後ろに引っ張り、上顎を前方に押し出すことで、顎の位置を修正します。このように、顎間ゴムは矯正治療において、歯の移動だけでなく、顎の位置そのものを改善する効果を発揮します。

2.2 顎の発育調整とバランスの改善

顎間ゴムは、特に成長段階にある若年患者において、顎の発育調整に大きな役割を果たします。顎間ゴムを使用することにより、上下顎のバランスを整え、発育を促進することができます。これにより、顔貌や咀嚼機能が改善され、患者の長期的な健康にも良い影響を与えます。

例えば、上顎が後退している場合には、顎間ゴムを使用して上顎を前方に引っ張り、下顎が前に出過ぎている場合には、下顎を後ろに引く力を加えます。このように、顎間ゴムは矯正治療の過程で顎のバランスを保ち、正常な発育を促すために使用されます。

2.3 歯の位置調整の補助

顎間ゴムは、歯の位置調整を補助する役割もあります。矯正治療では、ワイヤーやブラケットを使って歯に力を加え、歯を所定の位置に移動させますが、顎間ゴムを併用することで、歯の移動をより効率的に行うことができます。顎間ゴムは、歯に加わる力を補強し、治療を加速させることができます。

特に、歯が移動する際に顎間ゴムを使用することで、歯が正しい位置により早く移動するようになり、治療期間を短縮する効果があります。


第3章: 顎間ゴムの種類と選定基準

顎間ゴムにはさまざまな種類やかけ方があり、患者の症状や治療計画に応じて適切なものを選定する必要があります。顎間ゴムの種類は、目的に応じて異なる形状や強度を持っています。

3.1 垂直ゴム

垂直ゴムは、上顎と下顎を直線的に結びつけ、比較的軽度の咬合不正や歯の位置調整に使用されます。力が均等に伝わるため、患者にも使いやすく、取り付けが簡単です。

3.2Ⅱ級ゴム

Ⅱ級ゴムは、主に上顎前突(上顎が下顎よりも前に出ている状態)を改善するために使用されます。Ⅱ級ゴムを使用することによって、顎の前後的なバランスを整え、理想的な噛み合わせを実現するのが目的です。

Ⅱ級ゴムの使用方法

  • 上顎から下顎へ引っ掛ける: 通常、Ⅱ級ゴムは上顎の装置から下顎の装置へ引っ掛ける形で装着します。これにより、上顎を後ろに引き、下顎を前に引っ張るように力が加わります。
  • 効果: 上顎前突を改善するために、上顎を後方に移動させ、下顎を前方に促す力が働きます。これによって、噛み合わせが正常に近づいていきます。

Ⅱ級ゴムは、比較的軽い力で調整ができ、治療が進むにつれて使用するゴムの強さを調整していきます。

3.3Ⅲ級ゴム

Ⅲ級ゴムは、主に下顎前突(下顎が上顎よりも前に出ている状態)を改善するために使用されます。Ⅲ級ゴムを使うことにより、顎の後ろに位置する部分を前に引き寄せ、理想的な噛み合わせを作り上げることが目的です。

Ⅲ級ゴムの使用方法

  • 下顎から上顎へ引っ掛ける: Ⅲ級ゴムは、下顎の装置から上顎の装置へと引っ掛ける形で装着します。この配置により、下顎を後ろに移動させ、上顎を前に引き寄せる力が加わります。
  • 効果: 下顎前突を改善し、上顎との噛み合わせを正常に近づけます。

3.4三角型顎間ゴム

三角型顎間ゴムは、上顎と下顎を三角形の形で結びつける特殊な形状をしています。このタイプは、特に複雑な治療や顎の位置が大きくズレている場合に使用されます。三角型顎間ゴムは、顎の前後関係や上下顎の角度調整を行うために非常に効果的です。

3.5 特殊型顎間ゴム

特殊型顎間ゴムは、特定の治療目的に特化した設計がなされています。例えば、上下顎の位置調整だけでなく、特定の歯の移動を促すために使用されることがあります。特殊型顎間ゴムは、患者一人一人の治療計画に応じてカスタマイズされることが多いです。

3.6サイズと強度の選定

顎間ゴムには、大まかにライト(L)、ミディアム(M)、ヘビー(H)などの強度があり、患者の症状に応じて適切な強度を選ぶことが重要です。軽度の症例にはライトのゴムを使用し、強い力が必要な場合にはヘビーのゴムを選びます。

3.7マウスピースの場合

マウスピース型矯正装置(インビザラインなど)の場合

マウスピース型矯正装置は、透明で取り外し可能なため、見た目が気になる方にも人気があります。顎間ゴムは、プレジションカットというアライナーに切り込みが入っている部分にゴムを引っ掛けたり、歯に直接ボタンを装着しボタンにゴムを掛ける方法があります。マウスピースに取り付ける場合、以下の手順に従うことが一般的です。

【ゴムの取り付け方法】

  1. マウスピースを確認: まず、治療用に処方されたマウスピースを装着し、全体的にフィットしていることを確認します。マウスピースは、すべての歯にしっかりと密着していなければなりません。

  2. ゴムを装着する: マウスピースには、特定の位置に小さなフックやスリットが設けられていることがあります。これらに顎間ゴムを掛けます。ゴムは通常、上顎と下顎の間にかけられ、指示に従って位置やサイズを調整します。

  3. 使用時間の確認: マウスピース型の矯正装置は、通常1日中装着し、食事や歯磨きの際にのみ取り外します。顎間ゴムも同様に、指定された時間に従い、装着する必要があります。多くの場合、1日20~22時間の装着が推奨されます。

【注意点】

  • マウスピースを取り外す際に、ゴムが切れたり外れたりしないよう、慎重に扱いましょう。
  • 顎間ゴムは、装着中に不快感や痛みが伴うことがありますが、これは治療の一環であるため、医師に相談しながら使用を続けましょう。

3.8ワイヤー矯正の場合

ワイヤー矯正装置(ブラケット+ワイヤー)による顎間ゴムの使用

ワイヤー矯正では、歯に固定されたブラケットと、それに取り付けたワイヤーを使用して歯を動かします。顎間ゴムはワイヤー矯正と併用することが多く、ワイヤーに直接取り付ける形で使用します。

【ゴムの取り付け方法】

  1. ブラケットの準備: ワイヤー矯正の場合、ブラケットには通常、顎間ゴム用のフックが取り付けられています。これらのフックを使って、上顎と下顎にゴムを掛けます。

  2. ゴムの取り付け: 顎間ゴムを使用する位置は、治療方針や個々の症例によって異なります。通常は、上顎のフックと下顎のフックにゴムを掛けます。ゴムは、上下の顎の動きを調整するために指定された配置に装着します。

    • ゴムを掛ける位置や種類(例:三角形、四角形、オーバーランなど)については、矯正医からの指示に従うことが非常に重要です。
  3. ゴムの張力を確認: 顎間ゴムの張力は、治療効果に直結するため、正しい張力で装着することが求められます。きつすぎると不快感が強く、逆に緩すぎると効果が得られません。

  4. 定期的に交換: 顎間ゴムは、劣化するとその機能が低下します。通常、1日1~2回交換が推奨されます。医師から指示されたタイミングで、定期的に交換しましょう。

【注意点】

  • ゴムが外れたり切れたりしないように注意しましょう。特に食事の後やブラッシング後には、ゴムが緩んでいることがありますので、すぐに確認して交換します。
  • 顎間ゴムは治療の進行をサポートしますが、装着を怠ると治療効果が遅れることがあります。決められた時間を守って装着することが非常に重要です。

顎間ゴムは、矯正治療において顎の位置や噛み合わせを調整する重要な道具です。マウスピース型矯正とワイヤー矯正では、顎間ゴムの取り付け方法に違いがありますが、いずれも正しい方法で装着することが治療効果を高める鍵となります。常に医師の指導に従い、指定された時間と方法で顎間ゴムを使用するよう心がけましょう。


第4章: 顎間ゴムの装着方法と管理

顎間ゴムを適切に使用するためには、装着方法と管理が非常に重要です。誤った方法で使用した場合、治療効果が得られない可能性があります。

4.1 装着方法

顎間ゴムは、ブラケットやワイヤーに取り付けることで使用されます。ゴムは、所定の位置にしっかりと引っ掛ける必要があります。治療初期には、歯科医師が指示した通りに装着方法を確認し、正しい方法で装着することが求められます。

4.2 使用時間

顎間ゴムは、通常、1日12時間から24時間の使用が推奨されます。治療の進行に合わせて、装着時間は調整されることがあります。患者は、歯科医師の指示に従って適切な時間だけゴムを装着することが必要です。

4.3 ゴムの交換

顎間ゴムは消耗品です。使用するとゴムが伸びたり、破損したりするため、定期的に交換する必要があります。破損したゴムを使用し続けると、治療効果が低下することがあるため、注意が必要です。

4.4補助器具

Ⅱ級ゴムやⅢ級ゴムの場合は、後ろから前に掛けていただくと比較的掛けやすいです。
奥歯は見えにづらく、頬や口唇を引っ張らないと見えにくい場合が多いため、後ろから前に掛けるのが比較的掛けやすいです。指でも掛けることはできますが、指で掛けるのが困難な方は“エラスティックホルダー”というゴムを掛ける専用の道具を使用していただきます。先端にゴムを引っ掛ける部分があるのでそこにゴムを引っ掛けてゴムを掛けていただきます。


第5章: 顎間ゴムの治療効果と予想される結果

顎間ゴムを使用することで得られる治療効果は、患者の症状や治療計画に応じて異なりますが、以下のような効果が期待されます。

5.1 咬合の改善

顎間ゴムは、上下顎の位置を適切に調整することで、正しい咬合を実現します。これにより、咀嚼や発音が改善され、顎関節への負担も軽減されます。

5.2 顎のバランスの改善

顎間ゴムは、顔の外観にも影響を与えるため、顎のバランスを改善することができます。特に顎が不均衡な場合、顎間ゴムの使用により、顔の輪郭が整い、見た目にも良い結果が得られます。

5.3 治療期間の短縮

顎間ゴムを使用することで、矯正治療の進行が加速し、治療期間を短縮することが可能です。ゴムが加わることにより、歯の移動が効率的に行われ、最終的な治療結果を早く得ることができます。


第6章: 顎間ゴムの副作用とリスク

顎間ゴムは非常に効果的な治療補助装置ですが、使用にあたっては副作用やリスクも考慮する必要があります。

6.1 痛みや違和感

顎間ゴムを使用して最初の数日間は、歯や顎に圧力がかかるため、痛みや違和感が生じることがあります。この痛みは通常数日以内に収まりますが、長引く場合や強い痛みがある場合は、歯科医師に相談することが重要です。

6.2 顎関節への負担

顎間ゴムを使用すると、顎関節に過剰な負担がかかることがあります。これが原因で顎関節痛や違和感が生じることがあるため、ゴムの強度や使用方法の調整が必要です。

6.3 ゴムの破損

顎間ゴムは、頻繁に使用するため、破損しやすいです。破損したゴムを放置すると、治療に悪影響を与えることがあるため、すぐに交換することが重要です。


第7章: 顎間ゴムの未来と進化

顎間ゴムは、今後さらに進化し、より効果的で快適な治療方法が提供されることが予想されます。特に、3Dプリンティング技術やデジタル矯正の導入により、個々の患者に最適な顎間ゴムが提供されるようになります。また、ゴムの素材が改善されることで、患者の快適性や治療効果が向上することが期待されます。

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