乳歯と永久歯の違い 〜歯の一生を知って健康な口腔を守ろう〜
- 2025年8月11日
- お知らせ
お子さまの歯が1本目に生えたときの喜び、乳歯が抜けて永久歯に生え変わるときの成長の実感。歯の成長は、親として見守る中でとても大切な節目ですね。
子どもの笑顔に見える白い歯。それは、ただの「歯」ではなく、健康な成長を支える大切なパートナーです。小さな乳歯はやがて抜け落ち、大人の歯=永久歯にバトンタッチします。しかし、それぞれの歯にはきちんと役割があり、守ってあげるべき理由があります。今回は、乳歯と永久歯の違いをわかりやすくご紹介し、毎日のケアがどれほど大切かをお伝えいたします。
【第1章:乳歯と永久歯の違いって?】
◆乳歯とは?
乳歯は「子どもの歯」とも呼ばれ、生後6か月頃から3歳半くらいまでに20本が生えそろいます。役割としては、食べ物をかみ砕くだけでなく、顎の発育や発音、永久歯が正しい位置に生えるための“道しるべ”にもなります。また、乳歯の健康状態は、将来の永久歯の状態にも影響を与えることがあります。
◆永久歯とは?
永久歯は一生使う大人の歯で、6歳頃から13歳頃にかけて徐々に乳歯と入れ替わります。親知らずを含めると、通常32本生えますが、中には親知らずが生えない人もいます。
種類 | 乳歯 | 永久歯 |
---|---|---|
本数 | 20本 | 28〜32本 |
生える時期 | 6か月〜3歳半 | 6歳〜13歳以降 |
色 | 白っぽく透き通る | やや黄味がかった白 |
大きさ | 小さくて丸みあり | 大きくてしっかりした形 |
役割 | 成長と発達の補助 | 咀嚼、発音、審美性など長期的な機能 |
乳歯は永久歯が正しい位置に生えるためのガイドとなる重要な存在です。そのため、乳歯の健康が将来的な歯並びやかみ合わせにも深く関係してくるのです。
また、乳歯と永久歯の違いは、見た目だけでなく内部構造にも及びます。乳歯の象牙質は柔らかく、神経までの距離も短いため、虫歯の進行が非常に早いことが特徴です。
【第2章:乳歯のケアがなぜ重要なの?】
「どうせ生え変わるから大丈夫」と思われがちですが、それは大きな誤解です。乳歯が虫歯になってしまうと、痛みや食事のストレスを引き起こすだけでなく、将来生えてくる永久歯に悪影響を及ぼす可能性があります。
◆乳歯の虫歯リスク
乳歯は永久歯よりエナメル質(歯の表面)が薄く、虫歯が進行しやすいのが特徴です。放置すると痛みや炎症、永久歯への悪影響もあります。また、虫歯がひどくなると乳歯の根の先に膿がたまり、それが永久歯の発育に支障をきたすことも。
◆乳歯が健康だと永久歯も整いやすい
乳歯が正しく機能していれば、顎や顔の骨格がバランスよく育ちます。また、乳歯が早く抜けすぎると永久歯がずれた位置に生えてくる可能性もあります。
◆こんな習慣が大切!
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寝る前の歯磨きは必須
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ジュースやお菓子は時間を決めて
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歯科医院で定期検診を
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甘い飲み物はストローを使って前歯に触れない工夫を
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フッ素入り歯磨き剤の活用
虫歯菌は親からうつる?
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、生後19か月〜31か月の間に母子感染することが多いとされています。親御さんも一緒に口腔ケアを見直すことが大切です。
【第3章:永久歯が生えそろうまでにできること】
永久歯への生え変わりは6歳頃から始まり、13歳頃にほぼ完了します。この期間は「混合歯列期」と呼ばれ、乳歯と永久歯が混在している不安定な時期です。ここでのケアが将来の歯並びやかみ合わせを大きく左右します。
◆生え変わりのスケジュール
以下は一般的な目安ですが、個人差があります。
年齢 | 生える/抜ける歯 |
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6歳 | 第1大臼歯(6歳臼歯)、下の前歯の乳歯が抜ける |
7〜8歳 | 上下の前歯の永久歯が生える |
9〜10歳 | 犬歯・側切歯の乳歯が抜ける |
11〜13歳 | 小臼歯と第二大臼歯が生える |
◆6歳臼歯の重要性
6歳頃に生えてくる「6歳臼歯」と呼ばれ、噛み合わせの基準となる非常に大切な歯です。しかし生える位置が奥で気づきにくく、磨き残しが多いため虫歯になりやすい歯でもあります。保護者の方の仕上げ磨きと定期的な歯科検診とフッ素塗布が効果的です。
◆歯並びチェックのタイミング
混合歯列期の中盤(8〜9歳頃)には、歯科矯正の相談に適したタイミングです。顎の成長バランスや歯の生えるスペースが不足していないかを確認し、必要に応じて早期治療を始めることが可能です。
歯の生え変わり、ここに注意!
乳歯は永久歯に押し上げられるようにして自然と抜けていきます。でも時にはちょっとしたトラブルもあります。
こんなときは歯医者さんに相談を!
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永久歯が変な位置から生えてきた(ずれている)
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乳歯がなかなか抜けない
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永久歯がなかなか生えてこない
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乳歯と永久歯が並んで生えて「二重歯列」になっている
お口の中を日々チェックし、気になることがあれば早めの受診をお勧めします
【第4章:正しい歯磨き習慣のつけ方】
◆歯磨きのスタートはいつから?
最初の乳歯が生えたら、歯磨きデビューのタイミングです。ガーゼでやさしく拭うことから始め、少しずつ歯ブラシに慣れさせていきましょう。
◆年齢別ケアのポイント
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0〜2歳:仕上げ磨き中心。1日2回、特に就寝前に。乳児用の小さなヘッドの歯ブラシを使用。
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3〜5歳:自分で磨く練習を始める時期。必ず仕上げ磨きを大人が行う。
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6〜9歳:永久歯が生え始める大切な時期。6歳臼歯を意識して磨く。
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10歳〜:自立磨きが目標。時々チェックし、汚れが残りやすい場所の磨き方を教える。
◆歯磨きの基本ステップ
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歯ブラシは鉛筆持ち
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小刻みにやさしく動かす
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奥歯の溝、前歯の裏側、歯と歯茎の境目を重点的に
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最後にうがいでしっかりとゆすぐ
◆仕上げ磨きのコツ
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明るい場所で寝かせ磨きが基本
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無理に口を開けさせず「お口の体操」でリラックス
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子どもの好きな音楽や動画と一緒に歯磨きタイムを楽しく
歯磨きを嫌がるときは?
無理に押さえつけると歯磨き嫌いになることも。磨けたごほうびシールや、親子で一緒に磨く習慣で乗り切りましょう。