お歯黒について
こんにちは、しま歯ならび矯正歯科の歯科助手のSです🙇
近年はテレビのCMで「ホワイトニング効果あり!」と謳っている歯磨き粉を見かけたり、アイドルや俳優さん、芸人さんも白いきれい
な歯でテレビに出ていて、白い歯が美しいと思われています。ピカピカの白い歯は憧れですね🦷
しかし、明治の初期まで「お歯黒」という歯を黒く染める今とは真逆の風習がありました。
毎日、鉄分を含んだ粉を溶かして、お化粧の一環として黒い溶液を歯に塗っていました。江戸時代の浮世絵で見かけた事がありますよね。
今の感覚からするとグロテスクな感じに見えますが…
しかしお歯黒の歴史は古く、古代に大陸から伝わったようで古墳時代の埴輪にお歯黒の痕跡が残っていたり、正倉院にはお歯黒の溶液の
製法が書かれた書が残っています。(今でも中国の少数民族や東南アジアの一部地域にお歯黒の風習が残っています。)
平安時代になると貴族の間で広がり、男女を問わず17才から18才で歯を染め、成人した事を表したと言われています。
室町時代には13才から14才になると染める様になりました。
さらに下って、戦国時代には武将の娘が政略結婚をさせられる事が多く、8才くらいからお歯黒をしたと言われています。
そして江戸時代には庶民にも広がり、結婚した女性や芸子さんが歯を染め、明治政府により禁止されるまで千年以上、
受け継がれてきました。
こうした風習は何故受け継がれたのか?
それは歯の健康に都合が良かった事も理由の一つとされています。
お歯黒は筆や楊枝で鉄と酢酸の混ぜた物を歯に塗布し、さらにその上から植物由来のタンニンでできた粉を塗布しました。
タンニンは細菌が歯を溶かすのを防ぎ、鉄分はタンニンと結合して歯の表面を覆い、バリアの役目をしていました。
口腔内の衛生を保つのが充分ではなかった時代は、お歯黒のタンニンや鉄分の効果により歯並びの悪さや歯の変色を隠したり,口臭、虫
歯、歯周病の予防になっていました。(発掘された遺骨のお歯黒の歯を見ると虫歯がなかったり、虫歯があっても進行していなかったりして
いた)
さらに、歯垢を取り除かないと歯がきれいに染まらないので、楊枝などで歯を丁寧に掃除していたという事も口腔環境を整えるのに
役立っていたのです。
昔の人にとって、お歯黒は美容と健康の一翼を担っていたのでした。
今回は「お歯黒」についてのお話でした。いつの時代も人間はいろいろな知恵で健康と美へ探求をし続けたんですね。
私もいつまでも自分の歯で食事ができるように、口内の環境に気をつけていきたいと思います。
↓当院のHP TOPはこちらから↓