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医療コラム

矯正中の歯ブラシの選び方|ワイヤー・マウスピース別に必要なブラシ4種を解説

矯正治療中は、ブラケットやアタッチメントが歯の表面に装着されているため、1本の歯ブラシだけでは磨き残しが大量に発生します。きちんとケアするには、用途別に4種類のブラシを揃えて使い分けるのが基本です。

本記事では矯正治療を専門に行う しま歯ならび矯正歯科 の歯科衛生士が、矯正中に必要な歯ブラシ4種類(通常の歯ブラシ/ワンタフトブラシ/歯間ブラシ/デンタルフロス)の選び方、ヘッドの形・毛のかたさ・サイズの選定基準、交換頻度の目安までを詳しくご紹介します。

なぜ矯正中は専用の歯ブラシが必要なのか

ブラケット周辺は普通の歯ブラシでは届かない

ワイヤー矯正で使用するブラケットは、歯の表面に小さな金属やセラミックの突起として装着されます。通常の歯ブラシでブラケットの上をなぞっても、ブラケットの「上下」「左右」のポケットにブラシの毛先が届かず、食べカスや歯垢が残り続けます。

アタッチメントの「縁」に汚れが残る

マウスピース矯正のアタッチメントも、歯の表面に小さな樹脂の突起を作るため、その縁(境目)に汚れが入り込みます。通常の歯ブラシでは表面を撫でることしかできず、縁の死角は磨けません。

1種類のブラシでは死角が必ず生じる

ブラケット周辺、ワイヤーと歯の間、歯ぐきの境目──矯正治療中の口腔内には、形状の異なる磨きにくい箇所が複数存在します。1本のブラシで全てを賄うことは物理的に不可能で、用途別に4種類のブラシを使い分けるのが矯正中の標準的なケアです。

磨き残しは虫歯・脱灰・歯肉炎の温床

矯正中の磨き残しは、虫歯・脱灰(ホワイトスポット)・歯肉炎のリスクを2〜5倍に高めます。詳しくは ▶ 矯正治療中の歯磨きと歯磨き粉の選び方 をご参照ください。

矯正中に揃えたい歯ブラシ4種類

矯正中の口腔ケアに必要なブラシは、用途ごとに分かれた 4種類 が基本です。

① 通常の歯ブラシ(全体を磨く基本ツール)

歯面の広い範囲を効率的に磨くための、ベースとなるブラシ。矯正中はヘッドの形・毛のかたさを矯正向きに選びます。

② ワンタフトブラシ(ブラケット・アタッチメント周辺の死角を磨く)

毛束が1つだけの小さなブラシ。ブラケット1つひとつの周りを、点で磨いていけます。矯正中は必須といえる存在です。

③ 歯間ブラシ(ブラケットやワイヤーと歯の間の汚れを除去)

細い棒状のブラシで、ブラケットの周辺やワイヤーと歯面の間にできたすき間を清掃します。ワイヤー矯正では特に重要です。

④ デンタルフロス(歯と歯の接触面、歯ぐきの境目)

細い糸状のクリーナー。歯と歯の接触面や、歯ぐきの境目の汚れを除去します。マウスピース矯正では特に重要です。

通常の歯ブラシの選び方

ヘッドのサイズ(小さめが推奨)

矯正中は装置周りで細かい操作が求められるため、小さめのヘッドが扱いやすいです。目安は、横幅が前歯2本分以内のサイズ。

ヘッドの形(フラット/山型/段差付き)

  • ワイヤー矯正山型カット または 段差付きヘッド がおすすめ。ブラケットを跨いで歯面に毛先が届くため、磨き残しが減ります。
  • マウスピース矯正:装置を外して磨くため フラットヘッドでOK。普段使っているもので問題ありません。

毛のかたさ(ふつう〜やわらかめ)

矯正中は 「ふつう」または「やわらかめ」 を選んでください。「かため」はブラケットやアタッチメントを傷つけるためNGです。歯ぐきが腫れやすい方は「やわらかめ」を。

ハンドルの形(持ちやすさ)

細かい操作が必要な矯正中は、ハンドルがすべりにくく、しっかり握れるものを選びます。長時間使うため、疲れにくさも重要です。

ワンタフトブラシの選び方

ワンタフトブラシとは

毛束が1つだけの極小ブラシで、ブラケット周り・アタッチメント周辺・奥歯の溝・歯ぐきの境目 など、通常の歯ブラシが届かない場所をピンポイントで磨くために使います。矯正中は1本必ず用意してください

毛先の形(テーパード vs ラウンド)

  • テーパード(先細):毛先が細く尖っており、ブラケットの隙間に入りやすい。ワイヤー矯正におすすめ。
  • ラウンド:毛先が丸く、歯面を広く磨ける。アタッチメント周辺の面で磨きたいマウスピース矯正におすすめ。

ヘッドのサイズ(極小〜小)

ブラケット1つの大きさに合わせて、極小〜小サイズを選んでください。ヘッドが大きすぎると意味がありません。

使い方の基本

ブラケット1つずつ、円を描くように軽く磨きます。力を入れすぎると装置が外れる原因になるため、毛先がしなる程度の力加減で。所要時間の目安はブラケット1つあたり3〜5秒、上下28〜32本全体で約3〜5分です。

歯間ブラシの選び方

矯正中の歯間ブラシの主な用途

矯正中の歯間ブラシは、ワイヤーと歯面の間にできるすき間 や、ブラケット周辺の死角 を清掃するのが主な役割です。

健康な歯ぐきがある 通常の歯と歯の間(歯間部) への歯間ブラシの使用については、患者さまの年齢やお口の状態によって適否が分かれます。使い始める前に、当院の歯科衛生士までご相談ください。

サイズ(SSS/SS/S/M/L/LL)の選び方

ワイヤーと歯面の間に通すサイズを選びます。矯正初期は SS〜S から始めて、ワイヤーと歯の隙間に合わせてサイズを調整してください。サイズが合わないと歯ぐきや装置を傷つけるか、汚れが取れません。

形状(ストレート/L字)

  • 前歯ストレート型 が扱いやすい
  • 奥歯L字型 が届きやすい

両方を用意しておくのがベストですが、まずはL字1本でも対応できます。

ワイヤーと歯の間に通すコツ

  • 奥歯から手前へ1本ずつ 通すと、入れる角度を覚えやすい
  • ワイヤーと歯のすき間を 真横から 入れる
  • 入りにくい場合は フロススレッダー を使ってデンタルフロスを通します(次のセクション参照)

デンタルフロスの選び方

ワックス付き/ノンワックスの違い

矯正中は ワックス付き を選んでください。装置に引っかかりにくく、滑らかに歯間を通せます。ノンワックスは細かい繊維がブラケットに残るため矯正中には不向きです。

ホルダー付き/糸巻きタイプ

  • ホルダー付き(Y字・F字):扱いやすい、初心者向け
  • 糸巻きタイプ:細かい操作が可能、上級者向け。指に巻いて使います

矯正中は、まずホルダー付きから始めて、慣れてきたら糸巻きタイプにステップアップするのがおすすめです。

フロススレッダーの使い方(ワイヤー下にフロスを通す道具)

ワイヤー矯正中は、フロスをそのままでは歯間に通せません。フロススレッダー(プラスチック製のループ付きの細い棒)にフロスを通し、それをワイヤーの下から差し込んでフロスを引き出すことで、歯間とワイヤーの間を清掃できます。

装置別ブラシの組み合わせ早見表

装置の種類 通常歯ブラシ ワンタフト 歯間ブラシ フロス
ワイヤー矯正 ◎ 必須
(山型/段差付き)
◎ 必須 ◎ 必須 ○ 推奨
(スレッダー併用)
マウスピース矯正 ◎ 必須
(フラット)
◎ 必須
(アタッチメント周辺)
△ 矯正の進行で装置と歯の間にすき間が出てきたら ◎ 必須
小児矯正(取外し装置) ◎ 必須(子供用) ○ 推奨 △ 必要に応じて △ 大人と相談
小児矯正(固定式装置) ◎ 必須(子供用) ◎ 必須 ○ 推奨 △ 必要に応じて

※ 固定式装置:急速拡大装置、リンガルアーチ、クワドヘリックスなど

歯ブラシの交換頻度と保管方法

通常の歯ブラシ:1ヶ月に1回が目安

毛先が広がってきたら早めに交換してください。広がった歯ブラシは清掃効率が約4割低下します。矯正中は装置で毛先が傷みやすいため、月1回ペースが目安です。

ワンタフトブラシ:1〜2ヶ月に1回

使用頻度や力加減によりますが、毛先がへたってきたら交換。

歯間ブラシ:1〜2週間に1回(劣化が早い)

針金部分が曲がる・毛が抜ける・洗っても汚れが取れにくくなったら交換。

保管時の注意

  • 風通しの良い場所に ヘッドを上向き にして立てる
  • 家族のブラシ同士をくっつけない(雑菌の移行)
  • 旅行用のキャップは普段使いには不向き(湿気がこもる)

矯正中の歯ブラシに関するよくある質問(FAQ)

Q. 電動歯ブラシは使ってもいいですか?

A. 使えますが、矯正中は 手磨きの併用 を強くおすすめします。電動歯ブラシは歯面を効率的に磨けますが、ブラケットの隙間やワイヤーと歯の間までは届きません。電動歯ブラシで全体を磨いたあと、ワンタフトブラシと歯間ブラシで仕上げる使い方が理想的です。

Q. 「矯正用」と書いてある歯ブラシじゃないとダメですか?

A. 必須ではありません。「矯正用」表記がなくても、山型カット・段差付き・ふつう〜やわらかめの毛・小さめヘッドのものであれば代用できます。ただし、ワンタフトブラシは矯正の有無に関係なく、矯正中は1本必須です。

Q. ワンタフトブラシはどこで買えますか?

A. ドラッグストア・薬局・ネット通販で購入できます。当院でも基本的なものを一部取り扱っていますので、ご希望の方は受付までお声がけください。

Q. 歯間ブラシのサイズは医院で教えてもらえますか?

A. はい、当院の調整通院時にスタッフがお口の状態を確認し、適切なサイズをご案内します。装置の進行に応じて適切なサイズも変わるため、3〜6ヶ月ごとに見直すと安心です。

Q. ブラシは1本何円くらいですか?

A. 通常の歯ブラシは200〜500円、ワンタフトブラシは300〜600円、歯間ブラシは200〜800円(複数本入り)、デンタルフロスは300〜800円が目安です。4種類揃えても2,000円程度で、矯正中の虫歯治療1本分よりはるかに経済的です。

Q. 子どもの矯正で4種類も使いこなせますか?

A. お子様の年齢と装置の種類によります。取り外し可能な装置(プレオルソ等)であれば通常の歯ブラシが中心で十分なケースが多く、固定式装置(急速拡大装置・リンガルアーチ等)の場合はワンタフトブラシが必要です。低年齢の場合は保護者の方が仕上げ磨きでワンタフトブラシを使うことをおすすめします。

堺市・鳳駅で矯正中の口腔ケア相談なら

しま歯ならび矯正歯科は、鳳駅徒歩1分の矯正治療専門医院です。矯正中の歯ブラシ選びや磨き方でお困りの方は、調整通院時にお気軽にスタッフへご相談ください。当院でも基本的なブラシは一部取り扱っております。

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この記事の監修者

しま歯ならび矯正歯科 院長 島和弘
しま歯ならび矯正歯科
院長 島 和弘

経歴

  • 2011年3月奥羽大学歯学部卒業
  • 2018年4月東北大学病院矯正歯科 医員
  • 2018年8月日本骨代謝学会の1st Authorを受賞
  • 2018年11月日本矯正歯科学会 認定医取得
  • 2022年6月しま歯ならび矯正歯科 開院

資格・所属学会

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